RADWIMPS。
美しく表現された日本語が
音とリズムと韻の絶妙な調合によって
くっきりと立ち上がってくる感じ。
ほとんど魔法です。
野田洋次郎さんの自作英訳も、また良し。
『愛にできることはまだあるかい』の本人英訳バージョン
”Is There Still Anything That Love Can Do?” は
日本語の意味をきちんと英語に移し
選んだ言葉が自然に抑揚して韻を踏み
日本語バージョンを知っている人でも英語ネイティブでも
気持ちよく聞ける
完成度の高いものに仕上がっています。
そして、最後まで聴いてみると
日本語版とは違った感動がある。
海外版『天気の子』の英語字幕も
こちらの歌詞を使えばよかったのになあ。
閑話休題。
音楽療法の現場では
うまく表せない気持ちを、音楽を使って
客観的に眺められるものにしてみたり
五感で感じられる形にしてみたりします。
その一つが Songwritingです。
でも、いきなり作詞作曲するのはキビシイ。
感じていること
伝えたいことと
言葉と音とは
実は、簡単にはつながらない。
そんなとき、ちょっとだけ
アーティストの皆さんの力を借ります。
替え歌です。
ちっちゃい頃、やりませんでしたか?
聞き慣れた歌やCMの歌詞を変えて
面白おかしく歌うやつ。
今度は、それを大真面目に
あるいはやっぱり斜に構えてやってみる。
アーティストの皆さんが丹念に作った歌の構造は
力強く、安定していて、寄っかかっても平気です。
その上に乗っからせてもらうと
意外に言いたいことが言えたりして、驚きます。
*
たとえば。
映画『天気の子』。
RADWIMPSの『愛にできることはまだあるかい』を
私はついつい口ずさんでしまいます。
静かに繰り返すコード進行に支えてもらいながら
力強く言葉を重ねていく、この歌。
歌詞はシリアスですが、歌っていて気持ちいい。
と、思いきや。
私はどうやら
「とわのはざまで のたうちまわってる」
という言い回ししか使っていないらしい。
息子に指摘されました。
しかも、正しい歌詞は「狭間」ではなく「隙間」。
馬鹿の一つ覚えなだけでなく
知らない間に言葉まで書き換えていたようで。
でも。たしかに。
今、私は永遠の狭間でのたうちまわってる。
しかも「隙間」じゃない。
そう、「狭間」なんだよなあ。
何と何の間かっていうと
たぶん、永遠に感じられて苦しい、この
振り払ってもついてくる過去と
手がかりのつかめない未来の間。
他人が呆れるワンフレーズ熱唱でも
それが今の自分の正直なところから出てきたものなら
RADWIMPSには申し訳ないけれど
音楽療法的には、アリなのです。
というわけで、替え歌です。
自分の気の向くままに、ちょっと歌ってみませんか。
のたうちまわっているのが
狭間でなのか隙間でなのか
念のため確認したいという方は
こちらをどうぞ。